先週末、実家に帰省していた。
目的は今年1月に亡くなった母方の祖母の納骨式。
祖母は96歳の大往生だった。
納骨の日の朝。
私たち家族が墓地に着くと、墓地の隣りで工事が行われていた。
工事の内容は詳しくわからないが、大きな音を立てて、ショベルカーのようなものを使って工事をしていた。
私たちは工事のことは特に気にも留めず、祖母のお墓を掃除した。
掃除の途中で水が足りなくなり、私が近くの水道まで汲みに行くことになった。
水をたっぷり入れた桶を2つを下げてお墓に戻ると、母が「納骨の間、工事を止めてくれるらしい」と言う。
お墓の掃除をしている私たちに気づいた工事の方が、わざわざこちらに来て状況を聞き、母が「10時から納骨式なんです」と伝えると、「その間工事を止めます」と言ってくだったらしい。
工事を止めても何も得はないのに……。親戚でも何でもないのに……。世の中には親切な人がいるもんだ。
掃除を終え、お墓はきれいに。
そして、鳥の声しか聞こえない静かで心地よい空気の中、納骨式を無事に終えることができた。
母が工事現場に行き、「終わりました。ありがとうございました」と伝えると、しばらくして再び工事の音が鳴り始めた。
今回、この出来事に私はとても心動かされたのだが、その理由はなんだったんだろう。
それは「納骨式」という家族にとって大切な時間の意味を、工事の方が同じ思いで考えてくださったことからなのだと思う。「工事はあるけど、納骨式は静かな場所で行わせてあげたい」というあたたかさ。
今回、納骨式に参加できたこともうれしかったけど、工事現場の方のやさしさに触れられたこともうれしかった。
人にやさしくしてもらったら、私も誰かにやさしくしよう。
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