曽爾高原のススキをパン工房の断熱材に

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「活かす」ことに惹かれます。

元から好きだったというよりは、結婚した人が、たまたま何でも活かすことが好きで得意な人だったので私も好きになっていったような気がします。

例えば
古民家のリノベーションで出た廃材を薪にして火を起こすこと。
もう一度、その廃材が活躍できる場所を用意して、存分に力を発揮してもらう。
かまどの燃焼室で赤々を燃える廃材を見ると、そのまま捨てなくて良かったなと思います。

と、前置きが長くなりましたが、
今回、曽爾高原のススキをパン工房の断熱材に使わせてもらえることになったので、そのことについて書きたいと思います。

曽爾高原は私がパン屋をする曽爾村にある観光地で、一面に広がるススキが有名です。
昔は村の家の「茅葺き屋根」としてこのススキが使われていましたが、手間がかかることや刈る方の高齢化などで今はもう使われなくなりました。

地域の資源であるススキが「使われなくなってしまった」というのは勿体ない。
何かに活かしたい、例えばこれから使うパン工房に活かせないかと、ある時から夫と考えるようになりました。

それが2023年1月。

曽爾高原で、茅葺き職人さんと一緒にススキを刈り、茅葺き屋根を作るというイベントが開催されました。
茅葺き屋根に興味があったのと、曽爾高原のススキを刈る機会なんて滅多にないと思い、夫と参加。
子どもや大学生や大人、みんなでワイワイとススキを刈りながら、作った茅葺き屋根がこちらです。

これが想像以上にしっかりした茅葺き屋根でした。
外は極寒なのに中はとてもあったかい。風にゆらゆら揺れる華奢なススキも、束になればすごい力を発揮するんだと知りびっくりしたのです。

(このイベントは、NHKで取材して放送してくださっています。あ、私と夫もインタビューに答えておりますのでよろしければご覧くださいませ。汗)

曽爾高原のススキ まちづくりに生かす取り組み

このイベントの後、私と夫の中に、「曽爾高原のススキをこれから作るパン工房で活かせないか」という思いが生まれたのでした。

すぐに思いつくのは茅葺き屋根だけど素人には難しそう……。そこで夫の提案で、「パン工房の壁の断熱材に使えないか」という案が出ました。

「使いたい」と思っても、勝手にススキを刈ってよい訳ではもちろんありません。
まずは村役場の方に相談。すると、役場の方は「良い取り組みだと思います!」と喜んでくださり、奈良県などに許可を取ってくださったのでした。

そして、先週末に「茅刈り」(ススキを刈ること)を実施。

当日は、時折雪も降り、手がかじかむほどの寒さでしたが、村役場の方のほか、茅刈りに昔から携わってこられた村の方も手伝ってくださり、1時間ほどでこれだけのススキを刈ることができました。

宝の山です。

「ススキを断熱材に使う」なんて前例がないので不安でしたが、手伝ってくださった村の方に「多分できるんじゃないかな〜」と言っていただき、ちょっと安心しました。

これから、ススキの根本部分を乾燥させて、切って、壁の断熱材として使わせてもらいます。
ススキという曽爾村のすばらしい資源を、パン工房で活かすことができるなんてうれしいし、ありがたいし、ワクワクします(実際やってみないとわからないけど……)。

もし「ススキが断熱材に使えるぞ!」となったら、また昔の茅刈りが小規模でも復活できるかもしれません。淡い妄想ですが。

役場の方、手伝ってくださった村の方には感謝しかありません。
ありがとうございました。

曽爾村の資源を活かせるよう、やってみます。

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