先日、私の住む奈良県宇陀市で「宇陀松山薬草発酵博覧会」というイベントが開かれた。
「薬の町」で知られる宇陀市に、全国から薬草や発酵の専門家が集まり講演会やワークショップを行うというもの。薬草にも発酵にも興味のある私は4つの講演会(すべて無料!感謝!)に参加した。
その中で特に印象に残った、やまと薬膳のオオニシ恭子先生の講演について書こうと思う。
オオニシ先生の講演のタイトルは「植物の力と生命の関わり」。
「タイトル通りの実体験をしました」と言ってオオニシ先生が話されたこと。
この講演の数週間前、オオニシ先生は自宅の階段から落ちて顔と膝を強打してしまった。一緒にいた生徒さんが救急車を呼ぼうとしたがオオニシ先生はなんとか声を振り絞って「絶対乗りません」と拒否。そして「里芋をすってください」と生徒さんにお願いし、その里芋と生姜、小麦粉を混ぜたもの(里芋パスター)を顔と膝に貼り付けた。すると数日後には、顔と膝の腫れはきれいに引き、アザも残らなかった。階段から落ちた直後は痛みがなく、里芋パスターを貼らなかった腕は、青アザができていた。実際にその写真も見せてくださった。
「講演でリアルな体験を話せるように、階段から落ちたのかしらね」と先生は笑っていた。
昔から伝わる「里芋パスター」。
里芋にそんな力があるなんて。驚きだった。
自宅に帰ってから、「昔買った本、『自然療法』(東城百合子著)に載っているかも?」と思い読み返すと確かに「熱のある炎症の万能薬」として「芋パスター(里芋湿布)」が紹介されていた。他にも「豆腐パスター」「みそパスター」「そばパスター」などが紹介されていた。
どんな症状にも自然療法が適している、とは思わない。
思わないが、何か症状が出たときにすぐに薬を飲んだり塗ったりするのではなく、昔から受け継がれている身近な植物で癒やすことができたら、その方が自然なのではないかと思う。
そう言えば、大学生の頃インドを旅したとき、おばあちゃんが手作りの「梅肉エキス」を持たせてくれたな〜。
「昔ながら」とか「おばあちゃんの知恵」という言葉が好きなのだが、好きな理由は、昔から伝わっていることには不自然さがない気がするから。自然でいることが心地よいという感情は人間が本来はみんな持っているものじゃないかな。意識しないと、意識しても自然でいることは難しい時代だけど。
パン作りも一緒。昔から伝わる作り方を大切にしたいと思っている。
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