薪窯製作日記【作業98日目】アーチの話

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1月13日(土)くもり

窯のアーチ部分のレンガを仮置きしてみました。
アーチを組む作業はまだしばらく先ですが、レンガの数の確認と、アーチを組む際の木枠を先に作るためです。

概ね事前の計算通りに置けて一安心です。

ということで、今日はアーチの話をしたいと思います。

窯のアーチいうと、ピザ窯のようなトンネルに近いアーチを思い浮かべる方が多いかと思いますが、パン窯の場合は、ゆるやか〜なアーチになります。
なぜかというと、天井からの熱をしっかり当ててパンを焼くため。
レンガに蓄熱させた熱でパンを焼くのですが、アーチが高いと、その分、天井からの熱が届きにくくなります。パンの表面もしっかりと熱を当てて焼くため低い天井にするというわけです。

アーチを作るためには、レンガが「くさび型」である必要があります。

左から「並型」「T0」「T1」と呼ばれるレンガです。
並型は、上と下の長さが同じの一般的なレンガです。
T0は、上が65mm下が60mm、T1は、上が65mm下が55mmです。
T0なんかは、よく見ないとわからないくらいですが、くさび型になっています。
(今回も、何度か上下間違えて置いていました……。)

並型を入れてアーチを作ることもできますが、今回私は、T0とT1を使ってアーチを作ることにしました。それが最初の写真です。

で、自分の窯にどのレンガを何個使うかを決めないといけないのですが、
「弦長と矢高から弧長を出す」というこれまで出会ったことのないワードで計算をし、
数を出すに至りました(便利な計算サイト様々です)。

ここから先、まだアーチの話が続くのでお時間ある方はお付き合いください。

アーチといえば、昨年行ったスペインはコルドバの世界遺産「メスキータ」は、二重のアーチが圧巻でした。アーチ部分は石灰石と赤レンガでできているそうですが、モスクの建設が始まったのが785年。今から1200年以上前にどのようにしてこんな巨大なアーチを作ったのか、すごいとしか言えません。(語彙力ww)

昨年訪れたときはこの景色に圧倒されるだけでしたが、今写真を見ると「ああ、ちゃんとくさび型になってるなあ」と、今までは思わなかった角度から振り返ることができて、つながる感じがうれしいです。

ちなみに、このメスキータ、建設初期は費用を抑えるために各地から集められた神殿の石柱などを再利用しているそうで、よく見ると台座のデザインがまちまちです。

ここからは、スペインで撮影したアーチをいくつかご紹介します。

コルドバ。メスキータに向かう途中の門。くさび型ではないパターン。こういうアーチを見ると、ジャグリングの人が、箱をいくつも横に持つ技を思い出します、よね。

こちらもメスキータへ向かう途中。アーチの力が下にかかるパターン。鍵穴型のアーチは、イスラム建築の特徴だそうです。

コルドバ。花の小径で。こちらも鍵穴デザイン。二重のデザインと色合いが好きです。

アルハンブラ宮殿近くの庭園で。アーチにアーチを重ねたアーチ。シュッとしてかっこいい。

アルハンブラ宮殿内部。芸術的すぎるアーチ。アルハンブラ宮殿は、このような細工が至るところにされていてクラクラするほどでした。

そして最後に、スペインで出会った一番好きなアーチはこちら!

アルハンブラ宮殿のどこかのアーチ。
松ぼっくりのような形とレンガの素朴な風合いに、なんだかとても惹かれます。

また長くなりました。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

一週間お疲れ様でした。
また来週〜。

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