一日は層になっている

先月、パンの学校で「文章の書き方」という授業があった。

授業のあとはワークが出るのだが、そのときのワークの一つに「文章上達のために、好きな作家さんの文章を模写する」というものがあった。

わたしがすぐに思い浮かんだのが吉本ばななさん。
特に彼女のエッセイや日記の文章のリズム感が昔から好き。

早速、過去に読んだ本を何冊か読み返してみた。

その中の一冊『Q 人生って?』という本に、今の私にとても刺さる内容があったので、そのことを書きたいと思う。

この本は読者の質問に吉本さん(このときはよしもとさん)が答える形式のもの。
読者の「どうすれば時間を有効に使えますか?」という質問に、吉本さんはこう答えていた。

抽象的になら思うところはあります、とした上で。

それは、今目の前のことに集中することです。

(中略)

というのも、子どもができてほんとうに忙しくなってから、私は一日は何度でもリスタートする、すごく重い雰囲気で起きたとしても、そのトーンは一日の中で何回もキラキラと変わる、それが人生の醍醐味なんだな、ということに気づきました。

(中略)

そうしたら、おそろしいけんかをして朝おいおい泣いた日も、午後はばったり久しぶりの友人にあってしまい、けんかのことを話さなくてもいつのまにか笑顔になり、夕方突然仕事がたてこんでばたばたして、夜になったらいろんなことがみんな遠く思えて、さっぱりとした気持ちで散歩する…くらいのバリエーションがあるのに、今でない時間を引きずるとその感情にも引きずられるんだな、とわかりました。
これを知ると、一日が何層にもなり、何回でもやりなおせるので時間も有効に使えるようになるとなります。

『Q 人生って?』よしもとばなな

瞑想やマインドフルネスに興味があるので、いろいろな本を読んでいて「今ここ」に集中することの大切を理解しているつもりだけど、なかなか実践できないでいる。

吉本さんの文章を読んで、「一日を層にして、それをどんどん重ねていく」というイメージができた。下の層の感情は上に持ってこない!常に上へ上へ。

パンづくりも同じ。パンをこねているときに、前の日にあったいやなこととか、マイナスなことを考えていたら、結果的においしいパンにはならない気がする。
やはり、こねているときはこねることに集中。

さあ、今日も1日、何度もリスタートしながらやってみますか!

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