古いものは古くならない

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1月に祖母が亡くなった。96歳の大往生だった。

5月末、母から「おばあちゃんが使っていた家具を引き取らないか」と写真が送られてきた。祖母が住んでいた家を整理することになり、家具も処分しなければいけないということだった。

すぐに「ほしい!」と返信した。祖母が使っていた、ということももちろんあるが、写真の家具がとてもかっこよく見えた。引き取らなければ処分されてしまうということも悲しかった。

そして先週末、その家具を引き取るために帰省した。

祖母の家具は写真で見た以上にかっこよかった。祖母の家には小さい頃から何度も行っていたのに、家具をしっかり見たことがなかった。
桐のタンスは3段に分けられるようになっており、それぞれ私一人で持てる程軽かった。
「大正○年」と引き出しの裏に墨で書かれているものもあった。

どれも、まだまだ何十年も使えそうな家具だった。

「古いものは古くならない」
これは、ドリアン パンの学校の田村校長の本『捨てないパン屋』に登場する言葉である。
大好きな言葉だ。

祖母が使っていた家具を車に積みながら、この「古いものは古くならない」という言葉が、頭の中でリフレインしていた。

古いはずの家具を今「使いたい」と思うということは、古くなっていないということなんだろう。「古いものは古くならない」ってこういうことかもしれない。

「古いもの」が何でもかんでも良いわけではないし、「新しいもの」が悪いわけでもない。
でも、「古いもの」が今もあること、何十年経過してもここにあることに対する安心感というか、信頼感というか尊敬の念というか……。うまく言葉にできないけど、古いものに惹かれるし、大切にしたいし、できれば次につなげたいと思う。

家具を車に積み終えたとき、父に「ばあちゃんの花嫁道具だったものもあるやろうから、大事にしてな」と言われた。

祖母の若いときを私は知らないけれど、祖父と結婚した頃から使っていたであろう家具を、私が引き継いで使えることがとてもうれしい。

引き出しを開ける度に、祖母を思い出すのかな。
大切にしよう。

保育園の運動会に、祖父と祖母が応援に来てくれたのを今でも覚えている。
雨が降って、急遽小学校の体育館でやった運動会。二人並んで座って応援してくれた。
記憶力が弱いのに、40年近く前のことを覚えてるなんて人間って不思議。

あ、写真の家具たちは車に乗り切らなかったのでそのうちまた帰省します。
家具引き取りの旅に何も言わず付き合ってくれる夫にも感謝です。


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